神吾田の津姫【木花之咲夜姫(このはなさくやのひめ)別伝】その10
神話 2 月 19th, 2008
ある日、山々は赤々と燃えるような夕焼けを装(よそお)っていました。姫は両の手を上に挙げて、真紅(しんく)の空の中に溶け入りました、
直後一段と赤暮色を増し、吾田の津の山川海を染め上げました、夕暮色は悲しみの色を撒(ま)き散(ち)らし、桜の花びらを紅で染めたような空を描きます、山影に堕(お)ちようとした、
茜(あかね)の陽(ひ)は最後の力を放ち、天地は光彩(こうさい)陸離(りくり)となした。その日から姫のお姿を見たものはおりません。
何処(どこ)にも、姫の陵墓(りょうぼ)はありません。「姫は空の国に帰られた」との噂も次第に消え、山々を染める夕焼けを木花咲夜姫(このはなさくやのひめ)の赤いベールと重ね合わせます。
千数百年たった今でも、笠沙の岬から見る夕焼けは、火(ひ)の鳳(おおとり)が再生(さいせい)するかのように澄み渡った真紅の夕焼けを見る事があります。
おわり
(著者:有留 秀雄さん)
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